ランナーのSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)とは?高地トレーニングと貧血の関係【ランニングトリビア⑥】

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ランニングトリビア

【2026年9月追記】

この記事は2015年に公開したものですが、現在も多くの方に読んでいただいているため、2026年9月時点の情報をもとに、SpO2、高地トレーニング、スポーツ貧血に関する一部の記述を見直しました。当時の大会参加時の体験や記事の内容はできるだけ残しています。


前回は小説ネタ(走れメロス)のトリビアを紹介しました。

今回は、走るうえで大切な「酸素」、その中でもSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)について紹介したいと思います。
先日、標高1,700~1,900mで開催された飛騨御嶽ハーフマラソンを走り、平地とは違う高地での酸素について興味を持ちました。
また、おんたけパノラマウォーキング&ジョギングでは、受付時の健康チェックでSpO2を測定する機会がありました。

そこで今回は、パルスオキシメータの仕組み、SpO2とは何なのか、高地トレーニング、そしてランナーと貧血の関係について調べてみます。

と、いうことで、第6弾の始まり、始まり………

高地のマラソン大会でSpO2を測定

10月3日に飛騨御嶽ハーフマラソンを走ってきました。この大会のコースは標高1,700~1,900mと高地で開催されました。

と、いうことは空気が薄いということですね。

標高1,700~1,900mでは平地より気圧が低くなるため、酸素分圧も低下します。
空気中の酸素の割合そのものは平地とほぼ同じですが、体内に取り込める酸素が少なくなるため、走っていていつもとは違う感覚がありました。

また、7月5日にもおんたけパノラマウォーキング&ジョギングに出場しました。コースとしては飛騨御嶽ハーフマラソンと重複した区間がありました。

さて、この大会開催時の受付の健康チェックでSpO2を測定されました。

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パルスオキシメータというもので、みごと100点(100%)!

当時の健康チェックでは問題なしということで、無事に参加することができました。

それから、このキーワードについて興味がわいて、いろいろ調べてみることにしました。

まずこの機器はどういったものなんでしょう?

パルスオキシメータとは?

パルスオキシメータは、指先などに光を当て、血液中のヘモグロビンによる光の吸収の違いを利用して、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)と脈拍数を測定する機器です。

酸素と結合したヘモグロビンと、酸素と結合していないヘモグロビンでは赤色光や赤外光の吸収の仕方が異なります。パルスオキシメータはこの性質と、脈拍によって変化する血液量を利用してSpO2を推定します。

採血をせず、指を機器にはさむだけで短時間に測定できるのが大きな特徴です。

パルスオキシメータの原理は、日本人技術者の青柳卓雄氏が1970年代に考案し、その後、医療現場で広く使われるようになりました。

それでは、このパルスオキシメータでは何が測定できるのでしょう?

SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)とは?

SpO2は「経皮的動脈血酸素飽和度」と呼ばれ、パルスオキシメータを使って、動脈血中のヘモグロビンのうち何%が酸素と結合しているかを推定した値です。

血液中の酸素の多くは、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身へ運ばれます。そのためSpO2を測ることで、血液がどの程度酸素化されているかを知る一つの目安になります。

SpO2は%で表され、日本呼吸器学会では一般的に96~99%を標準値としています。

ただし、SpO2は採血によって直接測定した値ではなく、パルスオキシメータによる推定値です。また、測定値は体調や標高のほか、指先の冷え、体動、マニキュアなどの影響を受けることがあります。

体に疾患があったり体調不良などを起こしていると数値が低下することがあり、医療機関では入院中の患者の体調管理や、手術中の容体の変化を監視するためにも使われている、体調を評価する上で非常に重要な数値なのです。

私も今回初めて知ったのですが、簡単に測定でき、体の酸素化の状態を知る目安のひとつになる数値です。

一般に高地ではSpO2が低下する傾向がありますが、一定期間滞在すると体は低酸素環境に徐々に適応していきます。

高地トレーニングとSpO2の関係

高地では気圧の低下によって体が低酸素環境にさらされます。こうした環境に一定期間滞在してトレーニングすることで、赤血球やヘモグロビン量など、酸素を運ぶ能力に関係する適応が起こることがあります。

高地トレーニングは持久系アスリートにも利用されていますが、その効果は標高、滞在期間、トレーニング方法、鉄の状態などによって異なり、個人差も大きいことが分かっています。

私が走った標高1,700~1,900m程度でも平地より酸素を取り込みにくい環境になるため、普段とは違った負荷を感じました。ただし、短時間あるいは数回高地を走っただけで、持久力向上などの効果が得られるとは限りません。

貧血とは

貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が基準値より低くなった状態をいいます。ヘモグロビンは酸素を全身へ運ぶ役割があるため、貧血になるとさまざまな症状がみられることがあります。

立ち上がった時のふらつきやめまいを俗に「脳貧血」と呼ぶことがありますが、こうした症状には起立性低血圧などが関係することがあり、医学的な貧血とは別のものです。

貧血は持久力やパフォーマンスの低下につながることがあるため、予防と早期発見が大切です。

また、貧血の原因として、胃、大腸、子宮の病気などがある場合もあります。健康管理の上では大変に重要な問題です。

ランナーが注意したいスポーツ貧血

アスリートにみられる貧血の多くは「鉄欠乏性貧血」です。

激しいトレーニングを続けるアスリートは、一般の人に比べて鉄の必要量や喪失量が増えることがあります。また、食事から摂る鉄が不足していたり、月経や消化管からの出血などによって鉄の喪失量が増えたりすることも、鉄欠乏の原因になります。

貧血になると血液による酸素の運搬能力が低下するため、持久力の低下や疲れやすさなどにつながり、競技パフォーマンスに影響することがあります。

鉄欠乏性貧血

アスリートに多くみられる貧血です。

鉄はヘモグロビンをつくるために必要な栄養素です。食事からの鉄の摂取不足、運動による鉄の必要量の増加、月経や消化管出血などによる鉄の喪失など、さまざまな要因によって鉄不足になることがあります。

特にトレーニング量が多いアスリートでは、食事量や食事内容にも注意が必要です。

ランニングによる溶血

ランニングなどでは、足底を繰り返し地面に打ち付けることで、赤血球の一部が壊れる「溶血」が起こることが知られています。「foot-strike hemolysis(フットストライク溶血)」などと呼ばれることもあります。

ただし、日本スポーツ協会によると、この溶血は微量であり、運動による溶血だけで貧血になるわけではありません。

そのため、「ランナーは着地によって赤血球が壊れるから貧血になる」と単純に考えるのではなく、鉄の摂取不足や必要量の増加、鉄の喪失などを含めて考える必要があります。

ランナーの貧血の症状と予防

貧血の症状

貧血では、疲れやすさ、息切れ、動悸、頭痛、めまい、顔色が悪くなるなど、さまざまな症状がみられることがあります。

ランナーの場合は、日常生活では特に症状を感じなくても、「以前と同じペースで走るのがつらい」「練習についていけない」「記録が落ちてきた」といったパフォーマンスの変化がきっかけで気づくこともあります。

ただし、こうした症状やパフォーマンス低下には貧血以外の原因もあります。症状が続く場合は自己判断せず、医療機関で血液検査などを受けて原因を確認することが大切です。

生活での予防

1)運動量と体調を確認する
トレーニング量が多いランナーでは、疲労の蓄積だけでなく、運動量に対して食事から摂るエネルギーや栄養が不足しないよう注意することが大切です。

疲れやすい、息切れする、以前と同じペースで走れない、記録が急に低下したといった状態が続く場合は、単なる疲労と決めつけず、医療機関で血液検査を受けることも大切です。

2)十分な休養と睡眠をとる

トレーニング後の回復のためにも、十分な休養と睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。睡眠不足や疲労が続くと体調やパフォーマンスにも影響するため、日頃から自分の体調の変化に注意することが大切です。

食事での予防

1)鉄を含む食品を意識してとる

鉄はヘモグロビンをつくるために必要な栄養素です。鉄を多く含む食品には、レバー、赤身の肉、かつお、まぐろ、いわし、あさりなどがあります。また、大豆製品や小松菜などの植物性食品にも鉄が含まれています。

食品に含まれる鉄には、肉や魚などに多い「ヘム鉄」と、植物性食品などに含まれる「非ヘム鉄」があります。非ヘム鉄は、ビタミンCを含む食品と一緒にとることで吸収されやすくなります。

2)鉄だけでなく、バランスよく食べる

ランナーの貧血予防では、鉄だけを意識するのではなく、トレーニング量に見合った十分なエネルギーと、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよくとることが大切です。

農林水産省の「食事バランスガイド」では、食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つに分け、バランスよく組み合わせることを示しています。

3)欠食や無理な食事制限を避ける

トレーニングをしているのに食事量が不足すると、鉄だけでなく必要なエネルギーや栄養素も不足しやすくなります。欠食や必要以上の食事制限を避け、自分の運動量に合った食事をとることが大切です。

また、疲れやすさや息切れ、記録の低下などが続く場合は、食事だけで改善しようとせず、医療機関で相談することも大切です。

まとめ

今回は、血液中の酸素の状態を知る目安となるSpO2について取りあげてみました。

簡単に測定できるので、どこかのイベント等で測定をしているなら是非試してみて下さい。

また、高地トレーニングの効果は標高や滞在期間、トレーニング方法などによって異なりますが、涼しい場所でおいしい空気を吸い、普段とは違った景色を楽しみながら走ることも、市民ランナーにとって高地を走る魅力のひとつだと思います。

と、今回は文字が多すぎましたが、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)について調べてみました!

参考資料

この記事の医学・スポーツ科学に関する内容を2026年9月に見直すにあたり、以下の資料を参考にしました。

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