先日、テレビドラマ『俺たちの箱根駅伝』を見ていたときのこと。
登場人物がこんなセリフを口にしました。
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「本当にタイムが伸びたんです」
ん? タイムが伸びた?
話の流れからすれば、練習の成果が出て速く走れるようになった、という意味なのはわかります。
でも、どうしても引っかかるんですよね。
タイムって、伸びるものなの?
実はこの疑問、以前にも当ブログで取り上げたことがあります。
「タイムは『伸ばす』ではなく『縮める』もの!?」というタイトルの記事を書きました。
「タイムは『伸ばす』ではなく『縮める』もの!?」
マラソンを走っていると、「タイムを伸ばしたい」「タイムが伸びた」という表現をよく耳にします。
でも、私は以前からこの表現に違和感を持っていました。
例えば、フルマラソンの記録が3時間40分から3時間30分になったとします。
これは10分速くなったわけですから、タイムは10分「縮まった」はずです。
逆に3時間30分から3時間40分になったら、所要時間が10分長くなったわけです。
つまり、時間という観点から考えれば、
– 速くなった → タイムが縮まった
– 遅くなった → タイムが延びた
となるはずです。
だから私は、「タイムは伸ばすものではなく、縮めるものだ」 と考えていました。
ところが、今回のドラマでも「タイムが伸びた」という表現が使われていたのです。
もしかすると、自分の考え方が間違っているのだろうか?
国語辞典で「伸びる」を調べてみた
国語辞典で「伸びる」を調べてみた
まずは「伸びる」という言葉。
小学館の『デジタル大辞泉』などで意味を確認すると、長さが増すという意味のほかに、能力や勢いが増す、成績が向上する、といった意味があります。
例えば、
「走力が伸びた」
「成績が伸びた」
「記録が伸びた」
これらは、どれも自然な日本語です。
特に「記録が伸びる」という表現は、国語辞典にも用例として掲載されています。
なるほど。
単純に何かの長さが増えるという意味だけではなく、能力や成績が向上することも「伸びる」と表現するわけですね。
ここまでは納得できます。
そもそも「タイム」には2つの意味があった!
そもそも「タイム」には2つの意味があった!
さらに国語辞典で「タイム」を調べてみると、興味深いことがわかりました。
競技で使われる「タイム」には、「所要時間」と「記録」 という意味があるのです。
これには少し考えさせられました。
「タイム」を所要時間として考えれば、速く走ったときは時間が短くなるので「タイムが縮まった」が正しい。
ところが、「タイム」を競技の記録、つまり成績という意味で捉えればどうでしょう。
「記録が伸びた」という表現は普通に使われます。
それなら「タイムが伸びた」も、記録が向上したという意味で解釈できるわけです。
つまり、
「タイムが伸びた」という表現は、あながち間違いではなかったのです。
今まで私は「タイム=時間」と考えていたので、どうしても「伸びる」という表現に違和感があったのでしょう。
でも、「タイム=競技の記録」と考えれば、違った解釈ができるんですね。
それでも私は「タイムを縮める」と言いたい
今回、国語辞典を調べたことで、「タイムが伸びる」という表現にも、それなりの理由があることがわかりました。
以前のブログでは、間違った表現だと考えていましたが、どうやらそう簡単に決めつけられるものではなさそうです。
とはいえ、私自身はやっぱり「タイムを縮める」という表現のほうがしっくりきます。
フルマラソンで自己ベストを10分更新したら、
「タイムが10分伸びた!」
よりも、
「タイムを10分縮めた!」
と言いたいですね。
もちろん「記録が伸びた」「走力が伸びた」なら何の違和感もありません。
言葉というのは、なかなか奥が深いものです。
まとめ
今回の『俺たちの箱根駅伝』のセリフがきっかけで、以前から気になっていた表現を改めて調べることになりました。
その結果、「タイム」には所要時間だけでなく、競技の記録という意味もあることがわかりました。
「タイムが伸びた」という表現も、記録が向上したという意味なら理解できます。
自分では間違いだと思っていた日本語も、調べてみると別の見方があるものですね。
もっとも、私が次のマラソンで目指すのは、タイムを「伸ばす」ことではなく、やっぱり「縮める」ことです(笑)。
参考資料
・ 小学館『デジタル大辞泉』「タイム」「伸びる」
・ 毎日新聞校閲センター「『伸ばす』と『延ばす』」


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